演奏中の思考はパフォーマンスに大きな影響を与える

こんにちは。「信頼される指導力を身につける!」ピアノ講師を応援する 山本玲です

先日、某テレビ局の「てっ○ん・・」という番組のワンコーナーであるピアノ対決を視聴。以前からその番組の存在は知っていましたが、同じ演奏する立場として様々な感情が沸き上がってくるため、視聴する事はありませんでしたが、今回は思考が身体に与える影響について興味が沸き、観察することに。

芸能人であるピアニスト数名(大多数が音大卒)が二つの課題演奏の合計点て頂上を決めるというこのコーナー、

1stステージの課題は三曲弾いてノーミスであれば300点、ミスが有ればその分減点で競いあう(5つ以上のミスで演奏終了)というもの。加点は一切無し

2ndステージ表現力・正確性・リズム・難易度・音色の5つを審査項目とし、25名の審査員が挑戦者の演奏を採点していくもの。

両方のステージ演奏では必ず楽譜が置いてある。

加点なし・減点法での採点

私が注目したのは1stステージ。

聴衆を音楽の世界に誘うのに雑音(ミスタッチ)が無いに越したことはないし、ミスタッチによる減点は、分かりやすく公平性はあるように思えます。ただ、長年音楽をやってきたものとしては、「ミスタッチ減点法」の減点オンリー審査は正直言って表現をしたい音楽家にとっては驚きの採点方法であるし複雑な気持ちであります(個人的感想です)。

音楽を表現するということについては今回のお題ではないので・・・「ミスタッチをしてはいけない演奏」というケースの本番中の演奏者の思考が身体に与える影響を考えてみます。パネルモニターにミスのマークが点滅し、演奏者はとにかく別の音に引っかからないように注意して演奏しなければならない。(もしかしたら和音の1音が抜けた場合はミスにはなっていないかかもしれませんが)

「ミスしないように」の呪縛にとらわれた演奏者の様子(観察)

番組中の演奏者のほとんどはこの審査中、ポロポロとミスをする。(隣で観ていた素人の夫はほぼ分からない程度のミスも多い)。肩は上がり首が本来の長さより短く見える。また手の甲には腱がクッキリと浮きあがり続けたままで、力を抜く間も与えていない。プレッシャーを想定し準備をしてきたとは思いますが、なかなか想定内にはいってない様子。

何がミスを引き起こしているのか?

  • おそらく1stステージはノーミス演奏ということだけを念頭にこの課題に取り組んできた方がほとんど。
  • アドレナリン過剰状態
  • 練習の際にはパーフェクト演奏を可能にしたに違いないとは思われますが、練習環境と異なる環境下での演奏で筋肉が通常と異なる張りになることで、通常の想定していたコントロールでは対応できなくなることを想定して準備した方が少ないように見えた。
  • 暗譜をして練習していたであろう演奏者も楽譜が設置されることによって、時折楽譜に目をやらずにはいられなくなっていた練習時と異なる状況でコントロールが微細に狂う
  • さらに恐怖と緊張で頭と脊椎が固まっている為、四肢が動きづらくなっている。
  • ミスをしてはいけないという1stステージの否定系の指示を自分自身にし続けていることが最大の原因〜してはダメという否定形を判断できない脳が混乱し、ミスを引き起こしている。

改善点は?

  • まずは準備。可能な限り同じような体験が出来るようなプレッシャー体験を数多くする。私ならば・・人数もそれなりに用意し、ミスも聴衆に数えてもらうようなリハーサルを数回行う。
  • その際、お題の「ミスをしたら減点」を念頭に演奏した場合と、「正確な音を弾く」ということに照準を当てて演奏した場合の違いを自分自身で分析し、弾きやすいほうを採用する。

脳のクセを理解

演奏中に関わらず、脳は否定形の指示を理解できないことを自覚しましょう。

おおよそ演奏者は

  • 間違えないように
  • 止まらないように

‥という否定文を作成して演奏することが多いと思いますが、脳は肯定文のイメージしか画像に置き換えられません。間違えないようにの「間違える」という画像を頭にくっきりと描いてしまいます

脳のクセに対応する

では何をイメージすればよいのか?

「ミスをしないように」を➡「正確な音を弾く」「その音の鍵盤を正確におさえる(弾く)」などと、否定文➡肯定文の書き換えを行うことをおススメします。

本番の演奏はかなりの練習を行っているため、指も自動演奏化できる状態になっています。その分、頭の中にスペースが空き、余計なことを考えがちです。この余分に出来たスペースに否定的な思考を加えるのではなく、是非、音楽に関する肯定的な思考を加えて下さい。

演奏中の思考はパフォーマンスに影響します。良い方向に繋がるような習慣を手に入れまることをおススメします。

まだまだ身体を知るとお得なことがいっぱい!演奏をさらに磨きたい方はこちらのワークショップでお会いしましょう!

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ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・11

演奏中 脚も意識に含めることで、パフォーマンスの質は確実にアップ!

こんにちは。「信頼される指導力を身につける!」ピアノ講師を応援する 山本玲です

演奏中に意識が集中する身体部門一位は「指」ですが・・・

演奏中のピアニストは多かれ少なかれ指や手そして腕を使う意識を常にもっています。鍵盤に直接ふれる身体の部分は指になるので上半身に意識をもつ気持ちは理解できます。「指や手・腕に集中する」という言葉で表現することもあると思いますが、一部分に集中するということは、その他の身体の存在を忘れている(意識から離れている)という事でもあり、身体全体を効率的にバランスよく使うことからは離れてしまっている状態になります。(もちろん、演奏家にとって指や手・腕の知識を豊富に持つということは大切です。)

下半身の関節をいつでも対応できるように緩めておく

下半身に関してはペダルを踏む時に多少の意識はしますが、関節(股関節・膝関節・足関節など)に意識をもったことはあるでしょうか?

一見、ピアノ演奏と関係のなさそうなこの股関節と脚(膝関節・足関節含む)ですが、上半身に意識が行き過ぎるために、ここを「なかったことにしている」演奏者が私の生徒さんにも多くみられます。股関節は上半身と下半身をつないでいる重要な関節で、互いに関わりあっています。もしここを「なかったこと」にしたり意識を向けなかったりすると繊細な動きで全身のバランスを保っている股関節が固まってしまい、股関節付近でつながっている腕の重要な筋肉をも引き止めて動きの可動域が狭まってしまう恐れがあります。

この下半身のマッピングと機能を理解することは動きの可能性を増やし、演奏の選択肢を増やすことにもつながります。では関節に付着し動きをもたらす主な筋肉を見ていきます。

股関節とその周辺の筋肉の動きを知る

股関節は身体のほぼ中央に存在し、上半身-下半身の様々な筋肉が付着しています。とくに注目してほしいのが大腰筋腸骨筋。深層筋は身体の奥深くにある筋肉で筋肉、使っている感覚はなく疲れ知らずという特徴があります(インナーマッスル)(下図)。とてもお得な筋肉なのです。

ピアノ演奏にも重要な股関節の筋肉(腸腰筋=大腰筋と腸骨筋)
大腰筋の主な動き・・・股関節を屈曲(サッカーボールを蹴る時など)
腸骨筋の主な動き・・・股関節を外側にひねりながら屈曲(脚を組む)

「ピアニストは鍵盤のいろいろな場所で弾く時に身体を支えるために脚を使うことが出来ます。また体重が座骨ではなく、大腿骨の付け根に伝わってしまうように座っていたり、尾骨に体重が乗ってしまうような「背中に頼った姿勢」で座っていると脚は動かしにくくなります。座ることが快適ではなくなり脚の動きは制限され、ペダルに脚が届きにくくなり鍵盤も弾きにくく不安定な演奏になってしまうでしょう。

機能的に座るためにはお尻の筋肉の緊張を緩めることが不可欠です。そこの筋肉を緩めないと、体重は座骨に伝わらず脚の後ろ側に伝わるのです。体重が尾骨に伝わると腕と胴体の筋肉がそれをカバーしなければならなくなります。この「背中にたよった姿勢」は結果腕や背中の筋肉を緊張させ背中・肩・腕の痛みにつながることもあります。当然、演奏はその弊害を受けることになります」

ピアニストは、骨盤が後ろに傾かないように、股関節が充分に曲がっているか、腰が緩んでいるか、をいつも確認する必要があります。

トーマス・マークの〈ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと〉から抜粋

演奏前に効果的な股関節周りをほぐすエクササイズ

深層筋は持久力のある筋肉で自覚をするのが難しい・・・ということで、演奏直前にここを目覚めさせる動きをご紹介。

①ピアノの椅子に座り座骨を軸に上半身を後傾させる。この時、脚は床から浮く⇩。

②今度は鍵盤方向に股関節を屈曲させ上半身を倒していく。この時床に脚・身体が乗っていることを感じる。下写真⇩

③椅子の上に座骨を感じるように座り、脊椎の上に頭をふわりとのせる。下写真⇩


④鍵盤の感触を感じるように触れながら弾き始める(曲の冒頭にもよりますが・・・)。下写真⇩

この一連の動きをすると、股関節の筋肉に思いをはせる努力をしなくても自動的に下半身がバランスよく動き始めます。

下半身を含めたことで、全身の筋肉が微細に働き、驚くほど軽いタッチで出したい音が出せるようになります。

是非お試しください。

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