こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。
管楽器奏者や声楽家は呼吸と音楽のフレーズを一致させなければ演奏は出来ませんが、ピアノ演奏はどうでしょう?
意図的にもコントロール可能な呼吸の動きですが、自律神経の支配を受けていることもあり、日常においては呼吸は無意識の働きです。ピアノ演奏中は技術や演奏の質を高める意識が強く働くため、多くのピアニストは呼吸の状態に気を配ることはほぼないと思われます(難関パートでは息を詰めることも多い)。ただ実際はピアノ演奏中の呼吸も私たちの身体に作用し音楽にも影響を与えています。呼吸の現状を把握することで演奏に効果的な呼吸を探求し、選択して頂きたいと思います。
目次 1.覚えておきたい呼吸を支える場所 2.そもそも呼吸のしくみって? 3.ピアノ演奏中の呼吸で覚えておくとお得なこと 4.まとめ
・肺・・・肺はガス交換の場所で鳥籠のように囲まれた肋骨で守られていて、肋骨一本一本がバケツの取ってのように上方向に持ち上がることで容積を増やすことが出来ます。肺の上部は鎖骨のくぼみのところまで、下はみぞおち、背後は背中まであり想像以上に胸腔内(肋骨内部)を占領しています。↓
・肋骨・・・肋骨の骨と骨の間には肋間筋という筋肉があり、この筋肉が肋骨の間を狭くしたり広くしたりして胸郭内の容積をコントロールしています。この動きと横隔膜が下がることが協力し合って、空気を取り込むことが可能になります。↓
・横隔膜・・・横隔膜は筋肉です。自律神経の宝庫とも呼ばれているそうですが、主な働きは空気を出し入れする働きを担っています。肋骨の下の部分からパラシュートのように付着していて、そのパラシュートの傘から腰椎に沿って脚のように筋肉が付いています。肋骨の動きも伴いますが、このパラシュート状の横隔膜が上下することで空気が出入りします。↓
※呼吸のコツ
・吸う(吸気)時に横隔膜の下にある臓器は押し下げられ、最も下まで行くと骨盤の一番下の骨盤底筋群まで到達します。この時に腹筋群を固めてしまうと内蔵の行き場が限られてしまい、吸う息の量を制限してしまうので沢山の空気を取り込みたい場合は腹筋群は緩めましょう。逆に積極的に吐きたいとき(勢いよく吐く)は腹筋群を使います。
・肋骨は脊柱(背骨)にくっついていてそこにある関節のお陰で上下に自由に動くことが出来ます。地面とつながっている骨に身体の重みを支えてもらい、胸郭の周りの筋肉の支えの仕事を減らすと脊椎と繋がっている肋骨は自由に動けるようになります。また、胸郭の周りの腕を動かすための筋肉の仕事を減らし、背中を柔らかく使うことも呼吸をし易くするコツとなります。
呼吸は今回お伝えした以上に奥深いものですが、今回はピアニストが知識として持っていることが望ましいと思われる最低限の情報をお伝えしました。(フレーズ間の呼吸等はほとんどの皆さんが実験済みのこととして説明は省きました。)
演奏時に呼吸の意識をするか?意識をしないことを選択をするのか?の相性や個人差は勿論あると思います。他の技術を取り入れるときと同じく、その都度、実験しその時の自分に合った選択を根気よくやって頂けることを願います。