ATI認定アレクサンダー・テクニーク教師によるピアノ指導

「どんな行いも自分に戻る」は本当か?

~過度な否定的感情はストレスホルモンを分泌させてしまうという事実~

コンクールや試験などで同じように真摯に演奏する仲間の応援をしたいとは思いつつ、自分と比較してしまいどこかで自分よりも劣っていることを望んだりしたことはないでしょうか?

また、素晴らしい演奏を楽々弾きこなしている様に見える友人や仕事も途切れず順風満帆の知人に「嫉妬」や「妬み」に似た感情を持ったことがないと言い切れる人は少なくないと思うのです(私だけだったりして・・・・)。

頑張ったのになぜ私は合格できなかったのだろう・・・あの子よりも私の方が・・・という「嫉妬」「妬み」の感情は自分にも手に入れられる可能性がある(あった)と感じるときに湧いてくる感情です。桁違いの能力を持つ演奏家にはそんな感情は持たないものですが、努力をして、残念な結果になった時は何かしら納得のいく理由を探したくなるものです。

数学などの答えのある分野や、陸上競技などの数字で表されるものとは異なり、芸術分野の才能に関しては相手がどれだけ優れた能力を持っていても、それは直接目にすることができないこともあって、「自分にもできるのではないか」と感じてしまうようです。そして、その思いがかなわないと知ると、「なぜあんな人が」「おかしい・・・」という感情に変わってしまう人がいるそうなのです。

これを、「獲得可能性と親近性の差」と言うそうです。要は、手に入りそうだったのに獲得することができなかった。それなのに、身近な者がそれを獲得しているという感情です。

他人に嫉妬していても、ほしいものを獲得できる訳は当然なく、それどころか過度な嫉妬や妬みは、脳が「これは悪い思いだ」と判断し、コルチゾールというストレスホルモンが分泌されるというのです。

他人の不幸を願っていると➡コルチゾールが分泌され➡記憶力が衰えていき、脳や心身に悪い影響をおよぼす結果がやってくるという事実

どんな行いも自分に返ってくるという「因果応報」や「身から出た錆」という言葉にも根拠があるのです。

オーディエンスとして聴いている時の自分の在り方も実は大切

またコンクールや発表会の場でお友達のミスを数えたり、指摘する「マイナス面探し」が癖になっているお子さんを時々見かけます。子供にとってミスは判断材料としては分かりやすく、そのミスが少ないほどいい演奏だという基準なのだと思います(指導者や親の影響もあります)。

ただ、この習慣を身につけてしまうと相手の演奏の悪いところに目を向けてしまうようになります。「妬み」「嫉妬」などのコルチゾールが分泌されるケースとは少し異なりますが、怖いのは自分の演奏中にもこの否定的な考え方で聴衆は聴いていると思い込んでしまうことです。これが緊張体質に繋がっていく可能性も大いにあります。聴衆は皆が否定的な考えを持っているとは限りません、好意的に聴いてくれている方も当然いるのです。

このような、過度な「妬み」「嫉妬」「マイナス面探し」が最終的に自分に悪影響が及ぶメカニズムを知っていれば、ネガティブな感情に捕らわれそうになった時にブレーキを掛けることも出来るのではないでしょうか? また嫉妬心が湧きそうになったら➡肯定的に捉えて活かしてみるというのも良い方法かもしれません。

是非健康的な思考で音楽ライフを長く楽しんで頂きたいと願っています。

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