初対面の楽器でその感覚がつかめず、自分の演奏が終わってしまった・・・というご相談を生徒さんから受けることがあります。過去に弾いたことがある同じピアノであっても、ちょっとしたメンテナンスで別人化していることもしばしばありますね。小規模なコンクールなどはリハーサルも用意されていないので、ぶっつけ本番でピアノに触れて対応を考えていかなければなりません。
ピアニストはよほどの巨匠を除いて、自分のピアノを本番のステージで使うことは出来ません。これが他の楽器奏者と大きく異なる点でもあります。では家で弾くピアノは電子でも何でも構わないのでしょうか?また、リハで本番のピアノに触れる時間が無い場合の攻略などを含めた私の考えるピアノとの関わり方をお話ししたいと思います。
もくじ ・楽器を育てる事で奏者も育てられる ・”勘”とは膨大なデーターの中から瞬時に選択する能力 ・最初の数小節は楽器との「挨拶」 ・まとめ
私は犬2匹・猫1匹・ウサギ二羽・はりねずみ1匹と暮らしたことがあります(現在進行形でもある)。動物の特性によって人間との関係性は変わってきますが、手を掛けるほど愛しさは増しますし、逆に彼らも応えてくれます。また動物は言葉を操ることが出来ないので欲している事に気付くには少し時間が掛かりますが、長年同居していくとちょっとした仕草からも彼らの好みが理解出来るようになります。
実は、ピアノも同じように感じるときがあります。
ピアノは楽器なので分類的には「無生物」ですが、パートナー(オーナー?)が気にかける分だけ応えてくれるのはピアノも同じで、長く連れ添っていくと微細な変化に気付き・気遣うことが出来るようになります。気候やその日の天気によっても響は変わってきますし、ペットを獣医さんに連れていかねばならない時の様に、時には調律師さんにお願いしなければならない場面もあります。察知できるアンテナを常にオンにしておくことで演奏者の聴覚と触覚も大きく成長させてもらえる楽器です。
そんな手塩にかけたピアノも本番のステージまでは持っていく事が出来ない・・・・
ただ”自分のピアノ”で培った観察力や感覚・コントロールの練習は初めて出会ったピアノと向きあった時にも生かされます。日々、ピアノに対して五感をフル活用していれば、自然とデーターは集まっていきます。どのように接すればいいのか?を瞬時に察知する”勘”というものが育っているからです(そもそも勘というものは非常に膨大なデーターがあって初めて働く機能だと私は思っている)。ただご自宅のピアノが誰が弾いても同じ音色しか出ないようにプログラムをされている電子ピアノでは難しいでしょう。(※電子ピアノは譜を読めるように、また、指の運指を学ぶことを最終目的として側に置くには良い楽器ではあります)
そして最初の1音は想像してた通りの音が出なかったとしても気にしないことが重要です。最初にショックを受けてたとしても、ずるずる引きずる時間は捨てましょう。曲によっても勿論変わってきますが、f(フォルテ)からスタートする曲よりも、P(ピアノ)からスタートする曲の方計画的に音を出した方が良いかもしれません。その後➡用意しておいた選択肢の中から対応していくのをお薦めします。また、ペダルの踏みこみの深さもメーカや個体差があるので音を鳴らす前にさりげなく試し踏みをしておくのも一つの安心策です。全てを勘に頼りきらず、準備できるものは事前に用意しておくと気を取られる時間も短縮できます。
様々な個体差のあるピアノに出来る限りすばやく対処する方法はノウハウだけではやはり難しいです。日頃から様々なピアノに興味を持って触れていく事をお勧めします。また、色々な角度からピアノや自分の身体の使い方を観察・実験してデーターを集めましょう。”勘”と呼んでしまうとイチかバチかのギャンブル的な意味で捉われがちですが、”勘”は膨大なデーターが合ってこそ発揮できる産物なのです。そして瞬間に作り上げる音を楽しみ続けることもお忘れなく!
そして、上記の実践が出来るWSはこちら↓本番で試す前に実験することをお薦めします!
場所:クリエート浜松(浜松市中区)
対象:私のレッスンを過去に受けたことがある方で成人の演奏者(又は3月までにプライベートレッスンを受ける予定のある方・ピアノ以外の演奏も可能です)
参加人数:6名➡残席2名様
参加費:2.000円
演奏時間:1曲5〜10分前後まで(人数によって変わりますがら短い分には構いません)
※県外からのご参加ももちろん可能です。
お早めのご連絡をお待ちしでおります。
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