こんにちは。
「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。
ピアノは上半身、または腕に注意を払って演奏される楽器と考えられがちですが、他の楽器同様に全身のバランス調整しながら弾くことが大切です。 ピアノの椅子に座る前から意識していくことで、演奏の可能性を引き上げることが出来ます。
今回はそのバランス調整機能に注目です。
人間(脊椎動物)は
●視覚 ●三半規管(内耳の前庭器官) の情報と●皮膚●筋肉●腱 ●関節等の 各感覚器官からの刺激を受けてバランスを保っています。
ここでは、数ある筋肉の中の後頭下筋群(下図参照)に注目をしていきます。後頭下筋群は後頭部から首の骨上から1番目と2番目の骨にかけてつながっている深層の4つの小さな筋肉の総称です。
日常生活でも常に微調整を行っていて、脳にその受け取った信号を送ることで全身を繊細に保つ働きをしているとても重要な部分にあたります。
アレクサンダーテクニークは自分のやりたいこと「望み(理想の演奏)」のために、不必要な習慣をやめていくという技術ですが、
「頭が脊椎の上で繊細に自由に動けると、身体全身も無理のない本来の動きをすることが出来る」
という大前提があります。
「頭が繊細に動けるように」というのは、 まず後頭下筋群が繊細を動けるようにすることです。
歩き始めたばかりの小さな子供の歩行は、これが自然と出来ていて、不必要な力みは全く見られません。」ですが、残念なことに年齢とともに不要な固めを作ってしまう方がほとんどです。(メンタル的な条件も加わって、この癖が習慣化します)
筋肉には収縮状態を伝えて、脊髄反射を介して姿勢・運動の調整を行うセンサーのような機能があります。
「筋紡錘(きんぼうすい)」と呼ばれるものですが、
後頭下筋群には それが多く含まれているのです。居眠りをしていて頭が前にカックンと垂れても反射的に元に戻すことが出来るのもこの筋紡錘が働いているからです。
緊張する舞台やここぞという時に頭と肩の距離をギュッと縮めてしまう動作をしがちですが、頭を下へ押し下げてこの筋肉群が動けなくなってしまうと
繊細な動きを作り上げる筋紡錘の機能をストップさせてしまう為、
演奏や様々な動きをスムーズに行う事が難しくなってしまうのです。
ようするに
後頭下筋群が繊細に動けるようになっていれば、 演奏に適した姿勢や動きをするための指令がスムーズに脳に届くのです。 その結果、やりたいこと「演奏」「望み」が障害なく行えるという訳です。
このバランス調整機能を知ったうえで、演奏を習得していくことが「理想とする演奏」への近道と言えます。
小さな生徒さんには
「頭と首を繊細に動けるように・・・」
のフレーズがピンとこない子が多いため
「頭を風船のようにふわふわと自由にさせて、それに体がついていくように」
と、年齢に適したアレンジでお伝えするのもよい方法です。
・頭を脊椎(背骨)の上にフンワリ乗せていれば、 演奏に最適な姿勢や演奏をするための動きの指令がスムーズに脳に届く。