ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・12

快適なペダル(ダンパーペダル)の踏み方

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

前回の「ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・11」では演奏中 脚も意識に含めることで、パフォーマンスの質は確実にアップすることをお伝えしました。

今回の「演奏者が知っておきたいお得なこと」シリーズはペダルを踏む際に知っておくとお得な脚と足のマッピングになります。

ペダリングで大切な「足関節のマッピング」

足(床やペダルに触れる部分から足首と呼ばれる部分)の関節をL字型と思っている方が殆どです。でも実際の足関節はTの字が逆さになっている形です。⇩

        ここが足関節 (逆T)

L字型のミスマッピングでペダルを踏んでしまうと、どこかしらに痛みを感じるようになります。足の動きで重要なことは踵の後ろで起こるのではなく踵の骨の前の足関節で起こるという事。

踵は床についていますが、ペダリングでは膝や股関節の動きも少しですが伴います。膝と股関節も使うということは体重を座骨にのせてバランスをとって座ることも前提として大切なことです。(体重が座骨に伝わると脚は自由に動かせます。)

足関節・膝関節・股関節も微細ながら動きが生じている

ペダルの上に置かれた足が上下に動くと足関節・膝関節・股関節も動きが生じて脚全体に動きが生じます

ピアノは靴の文化圏で誕生した

日本では練習の際に柔らかいスリッパや時には素足で踏む方が多いようですが、そもそもピアノは室内で靴を履く文化圏で生まれた楽器です。そのため素足で長時間ペダルを踏むには無理のある構造と言えます。また素足でのコントロールに慣れてしまうと、厚い皮の靴底でペダルを踏んだ時に少しの力で下がることに気付くでしょう。時折、ステージ本番でペダリングの加減をコントロールすることが出来ず、踏み込みすぎや切り替えがあまくなり濁った音が響き渡る演奏に出会うことがあります。これは本番だけ靴を履いてしまうと起こりやすい例です。練習でも本番と同じ条件でペダリング出来るように配慮することが望ましいでしょう。

まとめ

ペダリングの際の足の動きが起こるのは踵が床に触れている部分ではなくその前にある足関節で起こる(逆T字)。

ミスマッピングで記憶してしまうと、筋肉緊張に繋がり大腿四頭筋や脛、股関節に痛みや違和感を伴う場合がある。

本番と同様のコンディションの履物を選び、練習する。

●そして・・・度々お伝えしている特定の部位のみに意識を集中することを避け、身体全体を意識に含める。※足と脚だけに意識を向けてペダルを操作するのではないという事も覚えておきましょう。すべてのバランスの場所を互いに協調させることで身体の動きは本来の質を取り戻せます。

意識的思考を使う日々のピアノ練習~主観的な感情を振り返りながら~

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

今回は日々の練習とその根っことなる主観的な感情について心掛けておくとお得なことを「思考」の面からお伝えしたいと思います。

意識の高い人のイラスト(女性)

意識と思考

意識・・・・一般に「起きている状態にある事(覚醒)」または自分の今ある状態や、「周囲の状況などを認識できている状態のこと」を指す。Wikipediaより抜粋

思考・・・・考えや思いを巡らせる行動であり、結論を導き出すなど何らかの一定の状態に達しようとする過程において、筋道や方法などを模索する精神の活動である。Wikipediaより抜粋

タイトルにある「意識的思考」とは今置かれている状況を認識しながら結論を導き出すための考えや思いを巡らせる行動にあたると言えるでしょう。

今、何がやりたくて(出来るようになりたくて)そのためには何を選択するか?

思考活動には意識的思考と、自動的思考の2つのシステムがあるそうです(分類する言葉は他にもあります)。

どちらも、その場にふさわしい使い方や役目を誤らなければ効果的に使うことが出来る思考システムです。自動的思考は脳のエネルギーの消耗が少なく・高速で処理できるというメリットがあります。何も考えずにピアノに向かうとこちらが働き始めるのは生物学的に捉えた人間としては当然といえるでしょう一方、意識的思考は脳のエネルギー消耗も多く、処理が遅いため本能的に使うことを避ける傾向が強くありますが問題決を求める場合には意識的思考が有効でしょう

参考:思考が使用するエネルギー・・・脳は重量換算では全身の約2%であるにもかかわらず、エネルギー消費量換算では全体の約20%のエネルギー消費を行う。厚生労働省のe-ヘルスネットより

脳のイラスト(人体)

核となる主観的な感情を確認する

子供は演奏の結果を親や先生に褒められることを目的としてしまっている場合が多く見受けられます(依存性の高い大人も例外ではない)。アップル創始者の一人であるスティーブジョブスの「人からの承認は意味をなさない」と残した言葉にもそれをうかがい知ることが出来ますが、自分の課題と認識していたつもりが実は他者の課題と気づかず邁進している。これは承認欲求を満たすためのもので、エスカレートすると他者からの評価に怯えることにもつながります。子供たちを教えていると頻繁に出会う複雑な事実ですが、成人しても気づかないままのケースもあります。

日々の練習ごとに目的意識は必要ですが、時折意識して振り返るべきなのが根となる主観的な感情です。何のためにピアノを弾いているのか?また何を望んでいるのか?れがちな自分の方向性を保つことが出来るでしょう。

他者からの評価に怯えることなく、本来の自分の目的・望みを確認しながら、意識的な日々の練習や活動を心掛けたいものです。

ピアノを弾く「身体」と「思考」の使い方レッスン 

第二回目の3/8(日)ワークショップは若干のお席がご用意出来そうです。

第二回目は1回目の身体の使い方の復習も含みますが「演奏の本番」に対処した内容になります。ステージ上での自分の身体と思考に何がおきているのかをまずは正確に把握することから始めます。

アマチュア演奏家も、

プロの演奏家も

そして指導者も、

ステージで思い通りに弾きたい気持ちは同じです。



演奏中の思考はパフォーマンスに大きな影響を与える

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術をを身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です

先日、某テレビ局の「てっ○ん・・」という番組のワンコーナーであるピアノ対決を視聴。以前からその番組の存在は知っていましたが、同じ演奏する立場として様々な感情が沸き上がってくるため、視聴する事はありませんでしたが、今回は思考が身体に与える影響について興味が沸き、観察することに。

芸能人であるピアニスト数名(大多数が音大卒)が二つの課題演奏の合計点て頂上を決めるというこのコーナー、

1stステージの課題は三曲弾いてノーミスであれば300点、ミスが有ればその分減点で競いあう(5つ以上のミスで演奏終了)というもの。加点は一切無し

2ndステージ表現力・正確性・リズム・難易度・音色の5つを審査項目とし、25名の審査員が挑戦者の演奏を採点していくもの。

両方のステージ演奏では必ず楽譜が置いてある。

加点なし・減点法での採点

私が注目したのは1stステージ。

聴衆を音楽の世界に誘うのに雑音(ミスタッチ)が無いに越したことはないし、ミスタッチによる減点は、分かりやすく公平性はあるように思えます。ただ、長年音楽をやってきたものとしては、「ミスタッチ減点法」の減点オンリー審査は正直言って表現をしたい音楽家にとっては驚きの採点方法であるし複雑な気持ちであります(個人的感想です)。

音楽を表現するということについては今回のお題ではないので・・・「ミスタッチをしてはいけない演奏」というケースの本番中の演奏者の思考が身体に与える影響を考えてみます。パネルモニターにミスのマークが点滅し、演奏者はとにかく別の音に引っかからないように注意して演奏しなければならない。(もしかしたら和音の1音が抜けた場合はミスにはなっていないかかもしれませんが)

「ミスしないように」の呪縛にとらわれた演奏者の様子(観察)

番組中の演奏者のほとんどはこの審査中、ポロポロとミスをする。(隣で観ていた素人の夫はほぼ分からない程度のミスも多い)。肩は上がり首が本来の長さより短く見える。また手の甲には腱がクッキリと浮きあがり続けたままで、力を抜く間も与えていない。プレッシャーを想定し準備をしてきたとは思いますが、なかなか想定内にはいってない様子。

何がミスを引き起こしているのか?

  • おそらく1stステージはノーミス演奏ということだけを念頭にこの課題に取り組んできた方がほとんど。
  • アドレナリン過剰状態
  • 練習の際にはパーフェクト演奏を可能にしたに違いないとは思われますが、練習環境と異なる環境下での演奏で筋肉が通常と異なる張りになることで、通常の想定していたコントロールでは対応できなくなることを想定して準備した方が少ないように見えた。
  • 暗譜をして練習していたであろう演奏者も楽譜が設置されることによって、時折楽譜に目をやらずにはいられなくなっていた練習時と異なる状況でコントロールが微細に狂う
  • さらに恐怖と緊張で頭と脊椎が固まっている為、四肢が動きづらくなっている。
  • ミスをしてはいけないという1stステージの否定系の指示を自分自身にし続けていることが最大の原因〜してはダメという否定形を判断できない脳が混乱し、ミスを引き起こしている。

改善点は?

  • まずは準備。可能な限り同じような体験が出来るようなプレッシャー体験を数多くする。私ならば・・人数もそれなりに用意し、ミスも聴衆に数えてもらうようなリハーサルを数回行う。
  • その際、お題の「ミスをしたら減点」を念頭に演奏した場合と、「正確な音を弾く」ということに照準を当てて演奏した場合の違いを自分自身で分析し、弾きやすいほうを採用する。

脳のクセを理解

演奏中に関わらず、脳は否定形の指示を理解できないことを自覚しましょう。

おおよそ演奏者は

  • 間違えないように
  • 止まらないように

‥という否定文を作成して演奏することが多いと思いますが、脳は肯定文のイメージしか画像に置き換えられません。間違えないようにの「間違える」という画像を頭にくっきりと描いてしまいます

脳のクセに対応する

では何をイメージすればよいのか?

「ミスをしないように」を➡「正確な音を弾く」「その音の鍵盤を正確におさえる(弾く)」などと、否定文➡肯定文の書き換えを行うことをおススメします。

本番の演奏はかなりの練習を行っているため、指も自動演奏化できる状態になっています。その分、頭の中にスペースが空き、余計なことを考えがちです。この余分に出来たスペースに否定的な思考を加えるのではなく、是非、音楽に関する肯定的な思考を加えて下さい。

演奏中の思考はパフォーマンスに影響します。良い方向に繋がるような習慣を手に入れまることをおススメします。

まだまだ身体を知るとお得なことがいっぱい!演奏をさらに磨きたい方はこちらのワークショップでお会いしましょう!

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ピアノ演奏者のためのワークショップではこんなことを探求しレッスンをしています。興味のある方はお問い合わせください⇩

ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・11

演奏中 脚も意識に含めることで、パフォーマンスの質は確実にアップ!

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術をを身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です

演奏中に意識が集中する身体部門一位は「指」ですが・・・

演奏中のピアニストは多かれ少なかれ指や手そして腕を使う意識を常にもっています。鍵盤に直接ふれる身体の部分は指になるので上半身に意識をもつ気持ちは理解できます。「指や手・腕に集中する」という言葉で表現することもあると思いますが、一部分に集中するということは、その他の身体の存在を忘れている(意識から離れている)という事でもあり、身体全体を効率的にバランスよく使うことからは離れてしまっている状態になります。(もちろん、演奏家にとって指や手・腕の知識を豊富に持つということは大切です。)

下半身の関節をいつでも対応できるように緩めておく

下半身に関してはペダルを踏む時に多少の意識はしますが、関節(股関節・膝関節・足関節など)に意識をもったことはあるでしょうか?

一見、ピアノ演奏と関係のなさそうなこの股関節と脚(膝関節・足関節含む)ですが、上半身に意識が行き過ぎるために、ここを「なかったことにしている」演奏者が私の生徒さんにも多くみられます。股関節は上半身と下半身をつないでいる重要な関節で、互いに関わりあっています。もしここを「なかったこと」にしたり意識を向けなかったりすると繊細な動きで全身のバランスを保っている股関節が固まってしまい、股関節付近でつながっている腕の重要な筋肉をも引き止めて動きの可動域が狭まってしまう恐れがあります。

この下半身のマッピングと機能を理解することは動きの可能性を増やし、演奏の選択肢を増やすことにもつながります。では関節に付着し動きをもたらす主な筋肉を見ていきます。

股関節とその周辺の筋肉の動きを知る

股関節は身体のほぼ中央に存在し、上半身-下半身の様々な筋肉が付着しています。とくに注目してほしいのが大腰筋腸骨筋。深層筋は身体の奥深くにある筋肉で筋肉、使っている感覚はなく疲れ知らずという特徴があります(インナーマッスル)(下図)。とてもお得な筋肉なのです。

ピアノ演奏にも重要な股関節の筋肉(腸腰筋=大腰筋と腸骨筋)
大腰筋の主な動き・・・股関節を屈曲(サッカーボールを蹴る時など)
腸骨筋の主な動き・・・股関節を外側にひねりながら屈曲(脚を組む)

「ピアニストは鍵盤のいろいろな場所で弾く時に身体を支えるために脚を使うことが出来ます。また体重が座骨ではなく、大腿骨の付け根に伝わってしまうように座っていたり、尾骨に体重が乗ってしまうような「背中に頼った姿勢」で座っていると脚は動かしにくくなります。座ることが快適ではなくなり脚の動きは制限され、ペダルに脚が届きにくくなり鍵盤も弾きにくく不安定な演奏になってしまうでしょう。

機能的に座るためにはお尻の筋肉の緊張を緩めることが不可欠です。そこの筋肉を緩めないと、体重は座骨に伝わらず脚の後ろ側に伝わるのです。体重が尾骨に伝わると腕と胴体の筋肉がそれをカバーしなければならなくなります。この「背中にたよった姿勢」は結果腕や背中の筋肉を緊張させ背中・肩・腕の痛みにつながることもあります。当然、演奏はその弊害を受けることになります」

ピアニストは、骨盤が後ろに傾かないように、股関節が充分に曲がっているか、腰が緩んでいるか、をいつも確認する必要があります。

トーマス・マークの〈ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと〉から抜粋

演奏前に効果的な股関節周りをほぐすエクササイズ

深層筋は持久力のある筋肉で自覚をするのが難しい・・・ということで、演奏直前にここを目覚めさせる動きをご紹介。

①ピアノの椅子に座り座骨を軸に上半身を後傾させる。この時、脚は床から浮く⇩。

②今度は鍵盤方向に股関節を屈曲させ上半身を倒していく。この時床に脚・身体が乗っていることを感じる。下写真⇩

③椅子の上に座骨を感じるように座り、脊椎の上に頭をふわりとのせる。下写真⇩


④鍵盤の感触を感じるように触れながら弾き始める(曲の冒頭にもよりますが・・・)。下写真⇩

この一連の動きをすると、股関節の筋肉に思いをはせる努力をしなくても自動的に下半身がバランスよく動き始めます。

下半身を含めたことで、全身の筋肉が微細に働き、驚くほど軽いタッチで出したい音が出せるようになります。

是非お試しください。

まだまだ身体を知るとお得なことがいっぱい!演奏をさらに磨きたい方はこちらのワークショップでお会いしましょう!

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ピアノ演奏時の習慣的な身体の使い方

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

「緊張して何をどう弾いたか覚えていない・・・」の状況でも弾ききれるのは何故か?

これはステージから袖に戻ってきた生徒さんからよく聞く言葉です。楽器をある程度の期間取り組んできたことのある演奏者であれば何度か経験があるのではないでしょうか。(ハノンやテクニックなどの教本を半寝しながら弾くのも似たような現象です)

演奏は練習を積み重ねることで良くも悪くも自動演奏のように無意識、または別のことを考えていても弾きとおすことが出来るようになります。(これは演奏者だけでななく、アスリートも当てはまる部分があるように思います。)「筋肉が覚える」という言い方をする人もいますが、反復練習によって脳から筋肉に伝わる情報が速くなった神経路のミエリン化と呼ばれている現象ともいえるようです(詳細はこちらの記事へ)。

本番に限りませんが、繰り返しの動作によって一連の動作が出来るようになった、もしくは出来るようにさせる名称といえば、「習慣」「癖」「ルーティン」が思い浮かびます。本番にかかわる準備の選択肢として加える可能性でこの事を考えてみたと思います。

3つの言葉の意味を辞書で調べると‥

これらの言葉は同じように使われることもあるようですが、少しづつニュアンスが違うようです。

<習慣>

後天的に獲得された個体の反応様式。刺激に対して自動的に解発されやすく,変化の少い一定の形をもつことが多い。生体のもつ多くの種類の反応が習慣になりうるが,典型的なものは種々の筋運動で,これらは条件づけや知覚運動学習により習慣化されると考えられ。ある動機のもとで獲得された習慣は,のちにその動機が消失しても,他の動機のもとで解発される。これを習慣の機能的自律性という。通常,ある反応が習慣といわれるまで自動化し,定型化するためには,かなり多数回の反復が必要とされる。動物の日常行動を支配しているものは,下等動物では本能であるのに対して,高等動物になるほど習慣の比重が大きくなるといわれる。。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)

<癖>

(くせ)とは、人が無意識のうちに、あるいは特に強く意識することなく行う習慣的な行動のことである。手足や体の動かし方、話し方などで同様な状況のもとで常に自動的に繰り返される傾向。広い意味では習慣の一種とみられるが、極端な場合には通常よりも不必要に偏向した反応として現れる自分は気づいていないという場合が多い。また、気づいていたとしても、特に強く意識せずに行っている行動も含む。一般に、高齢になるほど習慣で行動する傾向が強まり、そのため癖が付くとなかなか直らない傾向になる事が多い。 (Wikipediaより)

演奏における習慣(癖)は良くも悪くも繰り返しによって覚えた身体の使い方と思われます。

<ルーティン>

ルーティン(routine)」の語源は、「ルート(route)」。「ルート」にはいつも通る決まった道という意味。
「ルーティン」も毎日の仕事や家事、決まりきった質問や型通りの検査、またコンピューターでの一連の動作など同じことの繰り返しを意味する

~余談になりますが・・・演奏家やアスリートには本番前に行うルーティン、または癖があると言われています。小澤征爾さんは本番前に必ず木製のものを3回「トントントン」と叩くそうですし、去年現役を引退されたイチロ-さんの打席に入る前後のルーティンもよく知られています。プロである方はストレスなく自然に動きに入っていけるよう何かしらの決まった行動を持っていますが、中にはそこに縛られることを嫌ってあえていつもと違う行動をすると言っておられる方もいました。ルーティンに縛られないことがルーティンなのかもしれません~

ルーティンは、は習慣や癖とは少し異なっていて1つの決まった流れとして使われることが多いようです。演奏家においては心身状態をよいものに切り替える「スイッチ」を作るために有効です。それをきっかけに冷静な心理状態をキープもしくは取り戻す)ことを目的として取り入れている演奏家やアスリートは多いようです。

「習慣」「癖」「ルーティン」は別もの?

「習慣」も「癖」も後天的なもので、ある刺激に対して無意識のうちに自動的に繰り返されることは同様ですが、「癖」のひびきには「悪しき習慣」のイメージが少しあるように感じます。ルーティンは動機が意識的であると言えます。

誤った習慣的な使い方の影響

習慣となった使い方が誤っていた場合、それが習慣で強化されているがゆえに他のものに置き換えることは大変難しいといえます。もう一つの新たな使い方を取り入れたとしても、以前のしっくりした感覚にすがってしまうのです。

「今」の自分に最適なかたちで取り入れる

「習慣」や「癖」は瞬時に適応可能な動きなので、うまく使うことで演奏中も多くの動作を処理することが可能になるメリットがあります。私も演奏中に選択を切り替えることは頻繁にあります。何らかの演奏トラブルが起きた際はもちろん、感情面に集中したいときなども飛行機の操縦桿のように演奏者の判断で自動と自操を切り替えています。

人は心も身体も日々変化していく生き物です「習慣的な身体の使い方」・・・良かれと思っている「習慣」「癖」「ルーティン」も、今の自分に本当に必要なことなのか?何のために行っているのか?ということを棚卸し、選択し直す作業もときには必要なことだと私は考えます

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ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・10

鍵盤に触れる指、その指を遠隔操作する腕を知る!

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

ピアノは指や腕以外にも他の楽器と同様に頭から足の先までの全身をバランスよく使って演奏する楽器です。それを前提に今回はピアニストが最も気にする指(手)と腕についての知識をアップグレードしていただきたいと思います。

指の長さを正確にマッピングする!

普段「指の付け根」と呼んでいる「指骨」の始まりは下の図の➡だと認識している方が多いようです。ピアノ演奏で「オクターブが届かない」とお嘆きの方の多くは、この➡から指を広げようとしている傾向が強いです。(もちろん生まれ持ったサイズが原因の場合もあります)

            右手の掌側

でも、実際はもっと長く、掌の中のから指骨は始まっています↓

          右手の掌側:赤➡が指の始まり

指先から手の甲の方向へと反対の手で触ってみても指の骨の長さを感じることは出来ます。ちょうど手首にあたる小さな骨が8個集まるところで突き当たるのが分かるでしょう。本来の指の長さにマッピングが書き換えられることで、指の可動域が広がり、オクターブや広い音域の和音が掴みやすくなります。また打鍵する際、骨同士が関節を通して支えあっていることを感じることで今まで筋肉頼みになりがちだった鍵盤を支える仕事を、骨に任せようという意識が生まれます。(筋肉の過剰な緊張を緩めることで、指がしなやかに俊敏に動く準備も可能になります)

手の中にある筋肉の役割とは?

手の中にある筋肉はほぼ掌側に集まっているそうです。骨間筋・虫様筋等といった多くの内在筋があり、ピアノ演奏の際の微細な動きを助けます(開いたり、閉じたり、指をくぐらせたり、またぐような動作、打鍵する際に張りを持たせたり等々)。また甲には腱が通っていますが筋肉の本体は存在しません。(この甲の腱は前腕へとつながります。この前腕に存在する筋肉が指の伸展を担当しています・腕の説明は下へ)

右手の掌側:皮膚の上から見て盛り上がっていることからもわかるように、様々な筋肉がついています。
右手の甲側:(薄い紫がかった白の筋が腱、骨と骨の間に見えるのが骨間筋)

腕はどこから?

「腕はどこからでしょう?」と生徒さんに尋ねると、大概⇩肩の先を指す方が多いのですが実は腕はここからではありません。

腕の正確なマッピングこちら

鎖骨と肩甲骨(後方にうつる逆三角形の骨)も含めたものが腕全体をあらわします。鎖骨の先端(喉の下のくぼみの両サイドにある骨)に触れながら腕を大きく動かしてみると連動して鎖骨も動いていることがわかります。指先から鎖骨と肩甲骨までの長さと関節のつながりが在ることを意識して演奏することは、本来の腕の長さと機能を取り戻し、演奏の可能性を広げるでしょう。関節の部分は電車でいう連結部分です。決して固定することなく自在に動けることを意識することが大切です。腕を交差させて打鍵する時や体幹から遠い鍵盤などを打鍵する際はこの認識が演奏を助けてくれます。

前腕の中も正確にマッピング!

前腕の骨は一本ではなく2本です(小指につながる骨は橈骨・親指につながる骨は尺骨)。2本あることでドアノブを回したりぞうきんを絞ったり、鍵を開けたり閉めたりが可能になります。

ピアノ演奏の際はこんな状態になっています⇩

ピアノ弾くとき、前腕の2つの骨は交差している!!

ピアノを弾くときは2本の骨は回内といって
橈骨が尺骨の上に覆い被さる状態になります。
どちらの骨も緩いカーブがあるため
接触することなく動きが可能にデザインされています。
本のページをめくるのもこの2本の骨の回内・回外にあたります。
ピアノの演奏ではトレモロの動きをするときなどに意識して使うと、指のみを使って弾くときと違い、少ないエネルギーで演奏することが可能になります。

指を動かす筋肉は前腕の中にもある!

   右前腕・手の掌側は指を曲げる筋肉(例:じゃんけんのグーを出す)
    右前腕・手の甲側は指を伸ばす筋肉(例:じゃんけんのパーを出す)

指を曲げたり伸ばしたりする(屈曲・伸展)筋肉はほぼ前腕にあります

数十年前に主流だった指先を立てて上下に大きく動かすような打鍵(ハイフィンガー奏法)を習った方も多くいると思います。この奏法は前腕にある筋肉を多用するので長時間の打鍵で前腕に疲労を感じる方も多いようです。またこの筋肉の先は腱になって手首にある腱鞘と呼ばれるトンネル状の組織(上図の薄紫の部分)を通って指に付着し動かします。腱と腱鞘が頻繁にこすれあうことで炎症を起こし痛みを引き起こすこともあるので(腱鞘炎)酷使しないよう注意が必要です(「演奏家の手の悩み」酒井直隆より抜粋)。

結論!ピアノ演奏に必要な関節や筋肉とは?

指や手、腕には他にも観察すべき関節や筋肉は沢山ありますが、はじめにお伝えしたように、ピアノ演奏に必要とされるものはこれに留まりません。身体それぞれの持つ本来の機能を正確に理解することは技術習得の道しるべや近道となりますが、特定の部分のみに意識を集中させるのではなく、身体全体をバランスよく使うことが重要です。是非、知識の引き出しの種類は多く持ち、その状況に応じて使い方を選択して頂きたいと思います。

鍵盤に触れる指、その指を遠隔操作する腕を知る!ピアノ演奏者のためのワークショップではこんなことを探求しレッスンをしています。興味のある方はお問い合わせください⇩

ピアノを弾く「身体」と「思考」の使い方レッスン を開催します。

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

今までのワークショップは1回3時間で少人数開催でした。

ただ、レッスン時間が毎回駆け足で終了する感が否めない(私のまとめ方が問題なのかも・・という説もある)。

ということで・・・

今回は2回シリーズで開催することに致しました!

お題を絞ることも狙いですが、1回目でインプットしたものをご自宅に持ち帰って実験➡家での実験により出てきた疑問、さらに知りたくなった事などを2回目でご質問頂ければワークショップもより効果的になります。

勿論、1回のみのご参加も可能です。