今回は「そもそもアレクサンダー・テクニークってなんなの?」という疑問と、ピアノ演奏に取り入れることでどんな効果が期待できるのか? という事についてお話したいと思います。
もくじ
1.アレクサンダーテクニークを広めた人物
アレクサンダー・テクニークは、100 年以上も前にオーストラリアのフレデリック・マサイアス・アレクサンダー氏(1869-1955)が発見したテクニックで、舞台俳優だったアレクサンダーが舞台で声が出なくなってしまった事が原因でこのテクニックが生み出されました。
私達は身体に痛みや異変があったときには概ね医学(西洋医学もしくは東洋医学)に頼り、治療に励みます。この時も彼は医者に相談し、声を出さずにいれば元に戻ると言う事を信じて治療しましたが、一時的に声が戻っても、ステージを繰り返す度に声は出なくなる状況が続く始末。結局、彼は声を取り戻すために、身体が何をしているのか?を自分自身で徹底的に観察し分析しその原因を突き止めました。
その後、彼は身体のメカニズムを解明していき、そのテクニックは声を改善するだけではなく、様々な心身の問題を解決が出来ると証明し発展させます。
2.アレクサンダーの発見とその発展したテクニックとは
彼の突き止めた発見と現在に至るまでの発展のポイントをギュギュっとまとめると
この3つに絞ることが出来ると私は考えています( ※アレクサンダーテクニークの教師だけに限らないことですが、教える者によって大切にしているポイントは様々です)。
アレクサンダーテクニーク=「よい姿勢を学ぶところ」と思っている方が多いようですが、これは少し意味合いの異なる情報だったということが分かって頂けたと思います。
3.ピアノ演奏に取り入れると効果的な理由
楽器を演奏している時、気持ちが高まっている時にはいわゆる「緊張」という経験をします(その度合いは個人差もありますが、気付いていない演奏者も多い)。この「緊張」が演奏者の身体に表れることがあります。たとえば・・・あるピアニストは無意識のうちに肩がぐっとあがるとします。身体の一部に肉体的緊張が起こると、それが上腕に影響し、さらに前腕に影響し、究極的には手や指にまで影響してしまいます。このような筋肉の不必要な緊張を解き、 可能な限り自然で無理の無い状態でピアノに向かうことができるようにするには、まず身体のバランスを整える機能がある頭と脊椎の関係を見直すことが大切なのです。それが鍵盤上で演奏者の望み通りの磨かれた美しい音を生み出すことに最も自然に結びつくと私は考えています。