ピアノ演奏者が知っておきたいお得なこと・8

演奏の「方向性」を考える

こんにちは。「信頼される指導力と根拠のある技術を身につける!」ピアノ講師とプレイヤーを応援する 山本玲です。

私がピアノ演奏に取り入れている「アレクサンダーテクニーク」という技術の中に7つの原理というものがあり、その中の一つに[direction]という原理があります。

[direction]は日本語では「方向」「指示」「命令」「動き」「管理」等と訳されますが、アレクサンダーテクニークで使用される際は「方向性」と訳されることが多いようです。辞書(実用日本語表現辞典)には「何かの物事を進める場合の進め方や方針の在り方などのこと」とあり、「目的に至る手段」という考え方がしっくりくるようです。

~F.Mアレクサンダー氏の「方向性と抑制」~

アレクサンダーテクニークの生みの親であるF・Mアレクサンダー氏の著書「the use of the self」の中には彼の経験を含めて「方向性」に関することが書き残されています(以下抜粋)。

・使い方の方向性を感覚に頼ってはいけない

・自分の使い方の方向性(自分を使う時)にどう指示を与えているか?

・最初の結果を達成しようという刺激への本能的な反応は、はじめに抑制されただけではなく、新しい使い方の方向性が、出されている間中、ずっと抑制され続けていることになる。

私の場合は「抑制」という言葉はあまり意識して使わないようにしています。(方向性やプランを確実に実行することであえて「抑制」ということを実行に加えなくてもいいのではないか?という考え方からです)現在継承されているアレクサンダーテクニークの技術にも変化は見受けられますが、この本を読む限り、執筆した当時の彼は常に「方向性」のなかに「抑制」をセットにして考えていたように感じます。

~演奏に必要な「方向性」とは~

では私たち演奏家が演奏する際に方向性を定めるにはどうすればよいのでしょう?

歩く・立つ・座るなどの日常動作も「動き」であり、その際にも手順が大切ですが、演奏においてはさらに情報を処理し続けながら動きの指示も多く・複雑になっていきます。

どのような動きであっても全く同じ定型のプランというものは存在しません。とくに複雑化する音楽(演奏)においてはなおさらですが、おおよその計画の必要性は感じます。その下地があったうえで、その場その時に応じた対処法を身に着ける必要があるのではないかと私は思うのです。

演奏の方向性=望みの演奏をする

次は具体的なプランについて以下にまとめてみました。

①頭が動けるように脊椎の一番上にふんわりとのせる(この身体本来の動きが可能になるスタートボタンは必須!

②次に望み・到達したい演奏を考える

③②のやりたい演奏をにするにはどんな技術?何が必要か?を考える

④それに必要なパーツ(関節や筋肉)の使い方を選択する

ステージでは身体の筋感覚に頼る自動演奏に任せることも経験上必要な場面はありますが、とくに技術的に難しいパッセージの個所などでは順序立てた明確な選択が必要なように感じます。

ただ、私たち演奏家、とくに専門的に学ぶ意識が強ければ強いほど、より高い技術を追いがちです。単なるアクロバットな演奏に陥らぬよう、まずは何を表現したいのか?という一番の根幹となる「方向性」を大切にしたいものです。